コーチ・コンサルタント・カウンセラー・セラピストなど個人向けの対人支援ビジネスで独立起業している、あるいは計画している皆さん。
皆さんは「個人起業家」にあたるわけですが、世の中には「フリーランス」という呼称もありますよね。
もちろん、フリーランスが悪いとか身分が低いとかでは全くなく、アーティストや専門技術で年間何千万も稼いでいるフリーランスの人もたくさんいます。
しかし一般的には「低賃金で下請け仕事をする不安定な働き方」といったイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?
あるいは自分自身で「今の自分の働き方って、起業家というよりフリーランスという方が合っている……」「理不尽な要求にも応じ、下請け的な立場で辛い……」と感じている人もいるかもしれません。
個人事業主や法人といった税制上の違いはさておき、この「個人起業家」と「フリーランスワーカー」の違いはいったいどこにあるのでしょうか?
今回は、両者の決定的な違いと、フリーランスが「下請け」になりがちな理由、そこから卒業して「個人起業家」と呼ぶにふさわしい働き方をするために転換しなくてはならない3つの視点をお伝えします。
目次
法人相手と個人相手のビジネスはこんなに違う!
あなたは起業する前、どんな仕事をしていましたか?またこれから起業しようと考えている人は、今はどんな仕事をしているでしょう。
私の主宰する起業家向けの講座には、サラリーマンとして長年キャリアを積み、その後独立してフリーランスとして頑張っている人もよく来られます。
私自身も27年間広告会社のサラリーマンとしてキャリアを積んできましたし、その全てがBtoBビジネスでした。
法人相手の仕事では本当にありとあらゆる経験をしてきて、今は個人相手に自由に仕事ができています。
その雰囲気を感じ取って、法人相手から個人相手にビジネスモデルをシフトしたい人が講座に来られるんですね。
私は双方を経験したおかげで、法人と個人相手での
- 文化の違い
- ビジネスモデルの違い
- クライアントとの立ち位置の違い
が非常によく理解できました。
そしてこの文化・ビジネスモデル・立ち位置の違いというのは、もしあなたが「個人向けにやりたい!」「もっと自分の裁量で自由にやりたい!」と思うなら、絶対に理解する必要があります。
というのは、せっかく法人相手に素晴らしい経験を積んで高いスキルがあるのにも関わらず、いざ個人相手になるとさっぱりうまくいかない人、良さを発揮できない人がとても多いから。
こういう人は、この3つの違いについて理解不足であるケースがかなり多いんです。
具体的にどういうことなのか、ひとつずつ説明していきましょう。
視点1)「文化」の違い
法人相手と個人相手のビジネスの大きな違い、まず1つ目は「文化」の違いです。
企業ではお客様によって対応がバラバラではクレームのもとなので、きちんとしたマニュアルがあり、そこから逸脱しないように対応しますよね。
しかし個人が個人に相談する場合、決められたマニュアル通りに進めていくようなやり方では相手はガッカリしてしまいます。
そもそも自分の個人的な悩みを企業に相談するなんて、普通の人は考えもしないですし、相談するときは人に言えないような悩みや弱みをちゃんと理解してほしい!というのが個人のニーズです。
あなたが起業について悩んでいても、その相談に乗ってくれる会社はなかなか見つからないでしょう。なぜなら企業(カンパニー)は、あなたがサラリーマンでいてくれた方が便利だし、雇いやすいので、もし相談しても最後は転職サイトをすすめられるのがオチです。
日本では雇われて働くタイプの人が圧倒的に多いので、「起業したい」という少数派を相手にする会社はほとんどないわけです。
ということは、個人相手にビジネスをするには、その反対を行えばいいということになります。
企業(カンパニー)にはないあなた独自の「ノウハウ」や、企業(カンパニー)ではできない1人1人に対応した「サポート」があって、はじめて個人相手のビジネスが成り立つわけです。
そこでは統一された均質な対応とかマニュアル通りの進行といった、企業が大事にするノウハウはあまり役に立ちません。
むしろ、素の自分を出し、駆け引きなどはせず正直にいる、気さくな雰囲気の方が人気が出ます。
個人相手の対人支援ビジネスというのは、結局のところ「人気商売」だからで、お客さんが自分をさらけ出すのと同様に、自分もちゃんと自己開示して「自分らしさ」をはっきり見せなければ誰も集まってきてはくれません。
もし、会社員時代のような、ヨロイでも被ったような、本音を見透かされるのを避けるような独特の「ビジネスパーソンの雰囲気」をまとっていると、クライアントは契約してくれませんよ。
特に多いのが、起業したにもかかわらずサラリーマン丸出しの中高年男性諸君。私は見ただけで一発でわかるのですが、それを変えない限りずーっとクライアントは獲得できません!その重たいヨロイを一刻も早く脱いでください。
視点2)「ビジネスモデル」の違い
次に法人相手と個人相手で大きく異なるのが「ビジネスモデル」です。
法人相手のビジネスは、その多くが「請負」の仕事です。
たとえコンサルと名乗っていても、その実態は、あれこれと用を押し付けられる・納期は厳しい・価格も安く叩かれる……というのが一般的な請負の仕事です。
こういうことに慣れてしまうと、いつしか
「高い見積もりを出したら嫌われる」
「仕事は何でもハイ!と受けるべき」
という考えが染みついてしまい、あなたばかりがどんどん疲弊してしまいます。
私も広告代理店時代には請負の仕事ばかりやってきましたが、同時に請負の人に仕事を出す側の立場でもあったので、仕事を出す側の「本音」をよーく知ってます。
請け負いのなかでも「フリーランス」に仕事を出す法人の本音というのは、
- 面倒だから
- タダ(または安く)でやってくれるから
- それでも文句を言わないから
です。
それでもあなたが仕事を引き受けざるをえないのは、やはり収入がなくなる不安があるからですよね?
これがフリーランスの仕事の辛いところです。
対して個人起業家というのは、自分でクライアントを見つけられる「しくみ」を持っています。
そのしくみの本質とは、「あなたの専門性が欲しい!」「お願いします!」とクライアントから言ってもらえるような価値を普段から提供することなんです。
ということは、あなたは何をすればいいのでしょうか?
……そうです、発信ですね!
「ブログやSNSは苦手」とか「価値を発信といわれても、何を発信しなきゃいけないの?」なんて言っている場合ではありません。
クライアントから「お願い!」と言われるだけの発信をどんどんやらなきゃ、永遠に下請けフリーランスから逃れられないということです。
下請けがイヤなら、一刻も早く自分の強みや専門の発信をすること!
法人相手で疲弊している人には、日頃の発信が苦手という人がとても多いんです。このビジネスモデル、しくみ作りについてしっかりと理解できていないから、ずーっと下請けのままで変わらないわけですね。
視点3)「立ち位置」の違い
そして最後は「クライアントとの立ち位置」の違いです。
自分の強みを最大に生かした個人向けのビジネスでは、相手から「お願いします」と言われてビジネスが始まるわけですから、いってみれば個人起業家の方が上のような関係になります。
会社勤めしかしたことがないと、お金を払う側が「お願いします!」なんてとても考えられないかもしれません。でも、個人同士ではお金をもらって、さらに立場も上なんです。
だからこそ、クライアントはあなたのアドバイスを一生懸命やろうとする。あなたのアドバイスを必死で理解して行動しようとするから、クライアントに成果をもたらすんですね。
下請けを卒業してもっと自由に仕事がしたいなら
このように、文化・ビジネスモデル・立ち位置の違いがちゃんと理解できれば、個人向けにビジネスをする人が、なぜ、会社員のときの感覚からするとちょっと慣れ慣れしいように見えるのか、なぜFacebookやInstagramなどで自分のことをあんなに話すのか……という理由がよくわかるはずです。
法人相手の世界では通用した「大手との取引」などのステイタスも、個人のお客さんにとってはどうでもいい話です。
下請けフリーランスを卒業して、もっと自由に仕事がしたいのなら、まずは相手の方から来てもらえるような「プル型ビジネス」のしくみを取り入れてください。
そして腹で何を考えているのかわからないサラリーマンのような顔つきはやめて、もっと気さくに、もっと話しやすい雰囲気を出す。これができるようになってくると、法人相手で培った経験やスキルが程よくミックスされて、あなただけの独自性を出していけるはずです。
唯一無二のあなたらしさを発信するための第一歩は、あなたのこれまでのすばらしいキャリア、経験をコピーライティングすることです。
「なぜ、あなたに相談すると良いのか?」を、履歴書のような書き方ではなく、誰にも分かりやすいストーリーとして書いてみましょう。
下請けには必要のない作業ですが、個人相手のビジネス・個人起業家は、ここからビジネス構築が始まります。ぜひ、あなたもやってみてくださいね。
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